カリグラフィーの基本道具

今日は私が普段愛用するカリグラフィーの基本道具についてざっくりとお話したいと思います。


私は普段本当に基本的な道具しか使いません。そしてカリグラフィーは極論、「ペンと絵の具と紙」があればできるので、カリグラフィーを始めたいけどまず何を揃えればいいのかわからないという場合に参考にしていただければと思います。


①ペン先

まず大事なペン先。英語で "nib(ニブ)"とも呼びます。金属ペンのカリグラフィーはこのニブをペン軸につけて使います。

(左から)スピードボール、ミッチェル、ブラウゼの3つのメーカーが有名で、私は基本的にこの3種類を使っています。


・スピードボール(C型)

アメリカのメーカーのニブで、ペン先が3つに分かれていて絵の具が出やすくペンコントロールがしやすいです。大きさも小さい6番から大きな0番まで幅広い。特にカリグラフィーを始めるときは文字構造をしっかり理解するために、大きなペン先で大きく文字を書いたほうがいいのでC-2やC-1などおすすめです。


・ミッチェル

イギリスメーカーのニブで、比較的柔らかいため繊細な線が出せるのが特徴です。レゼボアと呼ばれるインク留めがすでに装着されているスピードボールとブラウゼと異なり、別売りのレゼボアを自分で取り付けます。



・ブラウゼ

ドイツのメーカーのニブで結構固め。筆圧の強い人に向いていますが、ペンコントロールに慣れていないと使いこなすのは結構難しいかもしれません。その硬さから細いクリスピーな線が出せて個人的に好きです。


・先の尖ったニブ(ポインテッドペン)

主にカッパープレート体などの筆圧で強弱をつける書体に使うニブです。左からハント101(スピードボール)、ジロット303(ミッチェル) 、361B(ブラウゼ)。カッパーを書く際は柔らかめのハント101、少し固めで細い線が出せるジロット303をよく使います。361Bは2ミリくらいの小さい小さい文字を書くときによく使います。


・モノライン用ニブ

モノラインという線幅が一定の書体を書くときに使うニブです。先が丸くなっていて、ただ書くだけでもポップな雰囲気が出せて可愛い。左からオーナメント(ブラウゼ)2種、Bペン(スピードボールB型)。



②ペン軸


左から、スピードボールストレートホルダー、カランダッシュ、漫画用画材コーナーで買った木のペン軸、自分で作った木のペン軸、スピードボールオブリークホルダー(ポインテッドペン用)です。最近は自作のペン軸(初めて作りました)を愛用しております。

ペン軸もいろいろあります。スピードボールやカランダッシュのように画材メーカーのものもあれば、ペン軸作家さんが作る美しいアーティスティックなもの、いろいろです。自分の手にフィットするという観点で選んでもいいし、個性が出せる部分なので使っていてテンションが上がるものもいいと思います。



③絵の具・インク

カリグラフィーに使う絵の具、インクは様々ですが、絵の具・インクともに非耐水性をおすすめします。耐水性のものだと乾いた後ペン先で固まってしまうためです(屋外用に何か作りたい場合などはアクリル絵の具など耐水性の画材を使う場合もありますが道具が固まってしまわないように注意!)。


・絵の具

絵の具はマットな不透明水彩絵の具(ガッシュ)を使用します。インクに比べ、時間とともに色あせにくいので長期保存したい作品にはガッシュが適しています。

・ホルベイン(ガッシュ)

多くのカリグラファーに愛されているガッシュ。色の種類が豊富。同じゴールドでもリッチゴールド、パールゴールドなど数種類あって楽しい。値段は色によって安いものから高いものまで幅があります。


・ニッカーデザイナーズカラー(ガッシュ)

ホルベインに比べ水分が多く柔らかい気がします。パッと明るいビビットな色が豊富で好き。また全体的に値段がお手頃なので練習用にブラックをよく使っています。


・インク

鮮やかな発色が特徴のインク。光で色褪せやすいので長期保存したい作品にはあまり向きません。ですがにじみやグラデーションがインク独特で良いんですよね。

・ドクターマーチン

インク自体あまり使っていないので使うのはほぼドクターマーチン。ボトルの形が可愛いのでちょっとずつ集めています。ハッキリした色味が多い印象です。


ドクターマーチンの他にウィンザーアンドニュートンのナッツブラウンをよく使っています。ザラザラの紙に書くとその染み込み具合がなんとも美しく温かい印象になるのでおすすめ。また最近インクの発色の良さに目覚めたため万年筆用のインク(色彩雫や神戸インク物語など)も調査中...。



④紙

紙は少しザラザラしていてインクや絵の具が染みないものであれば何でも大丈夫です(ポインテッドペンを使う場合はツルツルした紙がおすすめ)。私は普段の練習では特にこだわりはなくコピー用紙を使うことも多いです(ただしコピー用紙は細い線が出にくいのでケースバイケースで!)。


作品を作る場合は以下の2つをよく使います。

NTラシャ

多少ザラっとしているけれど比較的摩擦が少なめで滑らかに書けます。何より色が豊富にあるのでいろんな作品に使いやすい。そして価格が安いのでチャレンジしやすい。

アルシュ テキストウーヴ

老舗水彩紙メーカーのカリグラフィー用水彩紙。絵の具がしっかりのり、程よいザラザラ感があり細い線が出やすく書きやすいです。Archesという刻印が紙に入っておりカッコイイ。値段は少々高め。


ざっくりと私が普段使っているニブ、ペン軸、絵の具、紙についてまとめましたが、やはり自分で使ってみて使いやすいもの、しっくりくるもの、テンションが上がるものを使うのがベストです。まずは基本の道具に触れてみてカリグラフィーの雰囲気を掴み、楽しみながら自分に合ったものを探していくのがいいかなと思います。


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